2020/04/14 19:49
CHAKA CHAKA blogへお越しいただきありがとうございます!CHAKA CHAKAのナツミと申します。
ブログ第一回では、メイド・イン・ジャマイカのヘアアクセサリーブランド「チャカチャカ」の誕生秘話をご紹介・・・したいところなのですが、コロナウイルスの影響でジャマイカから日本に緊急退避しており、ひとまずはその経緯をご紹介したいと思います。
ジャマイカで過ごすわれわれ日本人は、ジャマイカの人たちから「ミス・チン」とか「ミスター・チン」と呼ばれます。彼らからすると日本人も中国人も韓国人も、アジア人はみな同じに見えるわけです。名前が分からないからとりあえずチンさん(陳さん?)と呼ぶのですが、日本人によっては激怒する人もいます。わたしはチンという苗字に「○○さん」という敬称の「ミス」を付けてくれている時点でリスペクトされていて気分が良いですし、覚えられやすくて気に入っています。
2020年の2月ごろからジャマイカでもコロナの恐怖が広がり始め、「ミス・チン、ウイルス持ち込むなよ」と時折路上でウイルスに怯える住民からイヤミを言われるようになり、嫌だなぁと思っていたらあれよあれよと言う間にお隣のドミニカにまでウイルスが来て、その数日後にはジャマイカで初の感染者が出ました。2020年4月12日時点でジャマイカでは72人の陽性反応者、4人の死者が出ています。
ジャマイカの医療は日本に比べるとまだまだ不十分なところがあり、万が一重症化してもジャマイカ国内に人工呼吸器がそう何台もあるとは思えないので、生存率は低いはずです。みんなそのことが分かっているので、「かかったら死ぬ」くらいに怯えていたのですが、日本に帰ってくると皆がわりと普通に生活しているので、驚きました。最近は日本の状況も深刻になってきましたが・・・。
日本への退避はジャマイカ政府が国境を封鎖するという情報が入ってすぐに決まったので、急でした。現地の友人知人はみな驚き、悲しみ、「でもナツミが必ず帰ってくるのは分かっている。待ってるよ」と言ってくれました。わたし自身もしんみりする暇もなく“Soon come!”(ジャマイカの言葉ですぐ帰ってくるよという意味)と言ってジャマイカを発ちました。
ジャマイカで作ったヘアバンドを日本でも売りたい!というのは数ヶ月前から構想していたことです。
「落ち込んでいても仕方ない。ピンチをチャンスに変えなくては!!」
ジャマイカに来る前は商品のデザインから販売まで手掛けていたという日本人の友人I氏の力を借り、スーツケースにヘアバンドと材料の布をいっぱい詰めて帰国しました。そしてこの度オンラインストアをオープンすることができました!I氏本当にありがとう!
先の見通しが立たず気持ちが沈みがちな今だからこそ、わいわいがやがやと賑やかなジャマイカの町並みに溢れるエネルギーを、チャカチャカのヘアアクセサリーを通して日本のみなさんにお届けできたら嬉しいなと思っています。
パトワ講座 &ちょっとだけ歴史
chaka chaka:ごちゃごちゃ、ぐちゃぐちゃ
パトワというのはジャマイカで話される、英語をベースとした民族語です。これまでパトワは「ジャマイカの方言」のように説明されていました。しかし近年は、アフリカ奴隷にルーツを持つジャマイカの人たちが独自に発展させた語学を「方言」ではなく「言語」として認定しようという動きが広まっています。
コロンブス漂着以後、スペインの植民地にされてしまったジャマイカでは、原住民のタノイがほぼ全滅し、大農場の労働力としてアフリカから奴隷が強制連行されました。スペイン人や、後にジャマイカを支配するイギリス人のスレイブ・マスター(奴隷の主)に会話を聞かれないようにするため、奴隷たちが英語をベースにスペイン語やアフリカの民族語をミックスし、独特のアクセントで話したのがパトワの起源です。
もとは口語のみの言語でしたが、後にアルファベットで表記されるようになり、ジャマイカの新聞等では今でもよくパトワ表記が見られます。英語パトワ辞典は数多く存在しますし、日本のレゲエファンもたくさんの「日本語パトワ語辞典」を出版しています。
「わたし、ブランドの名前を chaka chakaにすることに決めたの!」とジャマイカンの友人に話すと、「ごちゃごちゃ」という言葉のチョイスにみんな驚きながら大笑いしていました。
チャカチャカ、ごちゃごちゃ。パトワって、なんかちょっと大阪弁に似ている(わたしは生粋の大阪人です)!時には面白おかしく、時には攻撃的に、時には意地らしく響くパトワは、ジャマイカの人たちが生きる人生の面白さやしんどさそのものであり、わたしがジャマイカに惹かれる大きな要素のひとつです。
(出典: O-ACCESS JAMAICA Jamaican & Caribbean Pop Culture)
金メダル総取りのボルトたちアスリートの横に立つのは「パトワの母」ルイーズ・ベネット。
"We likkle* but we tallawa*"
「私達は小さいが強い」というフレーズは、誇り高きジャマイカ人のスピリット!
*=little "リクル"
*=strong "タラワ"