ショッキングなニュースがありました。

ジャマイカの新聞Gleanerによると、ジャマイカでは今年の3月、4月だけで子供への性的犯罪の被害報告が法務省の被害者局に700件近く報告されています。日本でもDV被害の報告が増えており、これはコロナの影響で家から出られる機会が減少した中で世界的に見られる傾向のようです。ストレスの行き場がない。逃げる場所がない。テレビなどでも「コロナ離婚」が取り沙汰されていますが、ジャマイカでも状況は深刻なようです。

ジャマイカでは性犯罪が以前から社会問題として提起されており、特に子供が被害者になるケースについてはレゲエのアーティストも楽曲を通して問題提起しています。

2019年に大ヒットしたDutty Man（ドティマン；汚い男）は幼い女の子に手を出す「汚い男」に「子供に触るな」と呼びかける歌ですが、歌い手はなんと小学生の女の子Tashaeちゃん。お披露目は2019年8月に行われたジャマイカの３大レゲエコンサートであるReggae Sun Fesで、一緒に歌っているRomain VirgoがTashaeをステージに招き入れました。

▲Romain Virgo ここ数年でグッと男前になった！

それからというもの、来る日も来る日もラジオでヘビロテされ、どこの町に行っても子供たちが「ドティマ～ァン！」と歌っていました。2007年にQueen Africaの「Daddy」を初めて聴いた時も「Daddy don’t touch me there；お父さん私の体に触らないで」という歌詞に「なんだこの曲は？！」と驚き、そしてその曲がジャマイカで大ヒットした事に仰天したのを覚えていますが、今回の「Dutty Man」のヒットではジャマイカから幼い子供をターゲットにした性犯罪がなくなっていない悲しい事実を知ったのでした。

 [Intro]

No mek dem take advantage of you, Nah nah, nah nah

ダメだよ、あいつらの思い通りにさせちゃいけないよ

[Verse 1]

Young girl gwan ah school, ya, And nuh follow nobody

お嬢ちゃん、学校に行く時に知らない人に付いていっちゃいけないよ

'Cause that man weh a call yuh sexy! Could be twice your daddy

あなたのお父さんの2倍くらいの年のオヤジが「セクシー！」なんて言ってきて

Mi know time ruff like grater, Plus yuh momma don't have it

すごく辛いでしょう、あなたのお母さんでさえ分かってくれないなんて

But please mi ah beg yuh nuh mek dem come mess up yuh body!

お願いよ、奴らにあなたの体を汚されないで

[Chorus]

Yuh dutty man Yuh dutty man

なんて汚い、汚い男なの

Leave the people pickney dem alone

人の子供に手を出すなんて

Yuh dutty man Yuh know it's wrong

いけないことだって分かっているくせに

So Leave the people pickney dem alone

人の子供に手を出すんじゃないよ

It's a disgrace, man... You...

なんて恥さらしなの

You're just a waste man... A waste man...

なんてみっともない男なの

日本でもそうですが、貧しい家の子供ほど辛い場面が増えていると思います。おうちが狭ければ家族との距離も近く、ストレスが溜まるけれど逃げ場所が無い。ニュースにある700件ほどの被害報告が氷山の一角であることは安易に想像できます。

実はこのニュースはジャマイカの町内会グループからの情報共有でした。町内会長も「自分たちのコミュニティーで何か取り組めることはないのか」と胸を痛めています。何らかのアクションが起きれば、わたしとしても何かの形で協力できないかと考えているところです。

Sun Fesといえば、今年2020年のSun FesではJah WorksのOgaちゃんの出演が決まっていてすごーーく楽しみにしていたのに、コロナの影響で今年はSun Fesの中止が決まったそうです。悔しい！！！来年きっと実現しますように。

▲TashaeデビューのSun Fes